マンション節税-防止策へ2018年にも導入見込

さて、今日の日経新聞の記事に、国税庁が2018年に、最近はやりの「タワーマンション節税」についての歯止め策をかける見込みである、と掲載されました。

現在、相続税(及び贈与税)におけるマンションの価額は、

・建物の固定資産税相当額
・敷地の土地価額×所有している敷地権割合

の合計額で評価しています。

皆様もご存じのとおり、マンションは高層階に行くほど価格(=時価)が上昇していきます。
しかし現在実務で一般的な“相続税の評価の仕組み”では、それがほとんど考慮できておらず、実勢価格とのズレが生じています。

タワーマンション節税とはこの”ズレ“を利用し、タワーマンションの高層階を取得、それを相続・贈与する事で財産総額を圧縮する、というものです。

そもそも相続税の財産評価について相続税法でどういっているかというと、「時価で評価しなさい」となっているだけです。

それでは実務でどう評価しているか、それが皆様も聞かれたことのある土地の路線価評価なども規定されている財産評価基本通達を利用しての評価(前述の“相続税の評価の仕組み”の事です)する事です。
ただしこちらは通達(国税庁という行政機関内での目安文書)であって、本来の“法律”ではありません。
税の世界では法律が最優先で、通達はその法律解釈の一つの指針を示すものであり、絶対的なものではありません。(これは個人的意見ではなく、憲法を頂点とする法律体系を有している国家では議論の余地の無い事実です)

この枠組みを考えた場合、相続税の法律で”時価“とされている評価と、解釈の一つの指針である通達とがかい離している場合、出来るだけ時価として妥当な金額を相続税の評価額とすべきであることは当然ですし、国税当局が問題として取り上げる事も至極当然と言えます。

当然法律で認められる“節税”について回避するのは専門家の職務怠慢と言えるでしょう。
ただし、このタワーマンション節税のような問題は、このような相続税の法律の枠組みを理解した上で適切な法律解釈ができる税理士が多くない、という現状を物語っています。

一人でも多くの税理士がこのような現状を認識して、考え、行動を改めて行ってもらうことができれば、と考えています。

今回もブログをお読みいただき、ありがとうございました!

2016年01月25日