正月、そして正月明けの連休もあっと言う間に過ぎ去ってしまいました。
私たちの業界は12月の年末調整業務から“戦闘モード”に突入、新年明けからは確定申告が終わるまで繁忙期の真っただ中、という感じです。
さて今回からシリーズで、皆様も多かれ少なかれご関心のある平成28年税制改正の概要とポイントについてご案内させていただきたいと思います。
今回の税制改正、マスメディアなどでポイントなどは既に皆様も耳にされていらっしゃると思いますが、「来年の参議院選挙を最優先させた」、という事に尽きるかと思います。
消費税の軽減税率にしても、配偶者控除等の見直しにしても、たばこ税の増税見送りにしても、個人的な感覚ではかなり露骨な増税先送りの改正内容になっていると感じます。
また、私たちの業界では、公表される税制改正大綱の発表の内容をいち早くお届けしようと、発表の日程を念頭に待ち構えている訳ですが、今回の大綱発表では、予定日当日には軽減税率についての協議が終わっておらず、そこの部分だけ空白の大綱案が、しかも与党のホームページではなく何故か日経新聞のホームページに掲載される、という奇妙さで進みました。
私も毎年発表と同時に大綱を熟読しますので今回も待ち構えていたのですが、こういうケースは初めてだと思います。
それでは今回から、数回に分けて今回の税制改正大綱の概要とポイントをお伝えしたいと思いますが、初回の本日は、主な改正項目のリストを挙げさせていただきます、。
それぞれの概要は次回以降、解説をさせて頂きたいと思います。
私ならではの切り口で、分かり易く、面白く説明をさせて頂きますのでどうぞよろしくお願いいたします。
また税制改正大綱には、改正内容と同じぐらい重要なメッセージが込められています。継続して税制改正大綱や税・経済環境をウォッチすることによって分かってくる内容で、毎年非常に興味を持って確認する項目です。今回のシリーズの最後回では”番外編”として、違った観点からの大綱の着目ポイントについてもお話をさせて頂きますのでお楽しみにしておいて頂ければ幸いです
【主な改正項目】
1.所得税(個人に対する課税)
(1)相続取得の空家を売却した際の30,000千円控除(譲渡所得の特別控除)の導入
(2)三世代同居対応住宅のリフォームに係る税額控除制度の導入
(3)医療費控除の特例として、スイッチOTC薬控除を導入
2.資産課税(個人・法人に対する課税)
(1)農地利用効率化促進に向けての課税の強化・軽減
(2)機械及び装置投資に対する固定資産税の特例措置の創設
3.法人税・地方税(法人に対する課税)
(1)法人実効税率の引き下げ
(2)課税ベースの拡大(上記(1)の財源確保のため)
(3)租税特別措置の見直し(〃)
(4)地方法人税収の偏在是正(再分配措置)
(5)企業版ふるさと納税の創設
4.消費課税(消費税や自動車関係税)
(1)消費税の軽減税率制度の導入
(2)インバウンド(外国人旅行者)向け消費税免税制度の拡充
(3)自動車税等(車体課税)の見直し
5.国際課税
(1)多国籍企業情報の報告制度等の構築
6.納税環境整備
(1)国税のクレジットカード納付制度の創設
(2)加算税制度の見直し(繰り返した者への重課強化)